RunpodのAI検索事例:本文が読み取られていない問題の見つけ方

公開 更新 9 分で読了
RunpodのAI検索事例:本文が読み取られていない問題の見つけ方

Runpodは、AI検索の調査で記事の本文が十分に読み取られていない問題を見つけ、修正したと報告されています。事例の中身を確認し、自社ページの大切な一文が取得されているかをSearch Consoleで調べる手順と、見つからないときの点検先を説明します。

Runpodの事例で注目したいのは、記事の本文が十分に読み取られていない問題が見つかったことです。 文章の良し悪しを議論する前に、その文章が届いているかを確かめる。その順番は、自社でも取り入れられます。[1]

Runpodは、AIの開発や運用に使う高性能なコンピューターを、インターネット経由で貸し出す会社です。

記事は十分にあるのに、AI経由の集客が伸びない。そんなときは、文章を書き足す前に、大切な説明がAIや検索サービスに届いているかを確かめます。この記事では、Runpodの事例を確認した後、自社のページで同じ問題がないかを調べる手順を紹介します。

RunpodのAI検索事例で報告された変更と成果

Runpodは、調べる質問を50件から300件へ広げ、本文が十分に読み取られていない記事を見つけて修正しました。 90日で月間の新規有料顧客が4倍になったと報告されています。[1]

この事例は、AI検索の計測サービスを提供するScrunchが、自社の顧客事例として2025年7月28日に更新したものです。独立した第三者の検証ではありません。[1]

時期・項目 事例に書かれている内容
始める前 2025年初め、AI検索からの新規有料顧客が月300〜400人ほどで頭打ち
質問の調査 2025年4月から、調べる質問を50件から300件へ拡大
見つかった問題 一部の記事で、タイトルは取得されても本文が取得されていない
行った修正 ページの説明情報、ページの構成、書式を修正
報告された成果 90日で月間の新規有料顧客が4倍

出典:[1]から当社が表に整理

Runpodへの参照流入のうち、約98%がChatGPTからだったとも書かれています。[1]

ただし、修正前後のコードや、問題のあった記事の名前は公開されていません。4倍は、質問の調査や記事の修正など複数の取り組み全体についての報告です。本文の修正だけで顧客が増えたとは分かりません。

Runpodの事例の流れを示す横のタイムライン。2025年初めは月の新規有料顧客が頭打ち、2025年4月から調べる質問を50件から300件へ拡大、一部の記事でタイトルは取得されても本文が取得されていない問題を発見、ページの説明情報・構成・書式を修正、90日で月間の新規有料顧客が4倍と報告。全体を囲む注記で、4倍は複数の取り組み全体についての支援会社の報告と示す。

以下の手順は、Runpodの社内作業を再現したものではありません。同じ問題が自社にないかを調べるために、当社が整理した進め方です。

調べるページと重要な一文を選ぶ

まず、申し込み前に読んでほしい公開ページを一つ選び、その本文から「伝わらないと困る一文」をコピーします。

対象は、会社のトップページに限りません。料金ページ、サービス紹介、比較記事など、読んだ人が申し込むかどうかを決めるページを選びます。

一文は、タイトルやメニューではなく本文から選びます。例えば、料金の計算方法、対応している用途、利用できない条件の説明です。

説明用の例として、料金ページの構造を示す図。上部のメニューとページタイトルには「選ばない」、本文の段落の一文「利用時間は1分単位で計算し、月末にまとめて請求します」をティールの枠で囲んで「ここから選ぶ」と示し、短い語句「1分単位で計算」も控える様子。

説明用の例を挙げます。架空のサービスです。

用意するもの 例
公開ページのURL 自社の料金ページのURL(ブラウザのアドレス欄からコピー)
本文の一文 「利用時間は1分単位で計算し、月末にまとめて請求します」
短い語句 「1分単位で計算」

一文を使うのは、ページ全体のコードを読まなくても、大切な説明が取得されているかを探せるからです。一文が見つからなかったときのために、短い特徴的な語句も控えておきます。

Search ConsoleのURL検査で本文の取得を確かめる

Search ConsoleのURL検査で「公開 URL をテスト」を実行し、「テスト済みのページを表示」でHTMLに先ほどの一文があるかを探します。

Search Consoleは、自社サイトがGoogle検索でどう扱われているかを確かめる、サイト管理者向けの管理画面です。サイトの所有権を確認し、閲覧できる権限が必要です。[2]

  1. Search Consoleを開き、対象のサイトを選びます。
  2. 画面上部の検査欄に、選んだページのURLを入力します。
  3. 最初に表示されるのは、前回インデックスに登録された版の情報です。今のページを調べるため、「公開 URL をテスト」を押します。[2]
  4. 結果の「テスト済みのページを表示」を開き、HTMLの中から先ほどの一文を探します。HTMLは、ページの文章や構造を記したデータです。[2]

一文が見つかれば、その説明は今回のGoogleの検査で取得されています。見つからなければ、文言の違いを疑い、短い語句でも探します。

説明用の図。Search ConsoleでURLを入力し、「公開 URL をテスト」を押し、「テスト済みのページを表示」のHTMLで一文を探す3段階の流れ。見つかった場合は今回のGoogleの検査で取得済み、見つからない場合は短い語句でも探し、それでもなければ表示方法とアクセス許可の点検へ進むと分岐する。GoogleのAIやChatGPTへの到達はこの検査では分からないと注記。

テスト自体が失敗して詳細を開けない場合は、表示された取得のエラーを先に読みます。検査するページは、ログインなしで開ける状態である必要があります。[2] 権限がない場合は、サイトを管理している人にURLと一文を渡して調べてもらえます。

ここで分かるのは、Googleの取得結果です。ChatGPTなど、ほかのAIが同じ本文を受け取れるかまで確かめたことにはなりません。

本文が見つからないとき:表示方法とアクセス許可を点検

人の画面では読めるのに検査結果に一文がないなら、文章を足す前に、ページの表示方法とアクセス許可を点検します。

一つ目は表示方法です。Webページには、開いた直後に本文を受け取るものと、その後にプログラムを動かして本文を表示するものがあります。そのプログラムによく使われる言語がJavaScriptです。

GoogleはJavaScriptを実行して処理しますが、すべてのボットがJavaScriptを実行できるわけではありません。Googleは、サーバー側で本文を用意しておくことは今も良い方法だと説明しています。[3] ボタンを押さないと本文が出ない作りや、ログインが必要な作りも確認します。

二つ目はアクセス許可です。サイトの robots.txt という設定ファイルや、サイトを配信するCDNというサービスで、検索用のボットを止めていないかを見ます。Googleは、robots.txtとCDNの両方でクロールを許可することを勧めています。[4]

ChatGPTの場合、検索で紹介するためのボットはOAI-SearchBot、学習用のボットはGPTBotで、設定は別々です。ChatGPTの検索に出したいなら、OAI-SearchBotの許可と、OpenAIが公開するIPアドレスの範囲からのアクセス許可が勧められています。[5] 学習を断るためにGPTBotを止めることと、検索用のボットを止めることは、分けて考えます。

ページから検索用ボットへ本文が届くまでの道に2つの関門を置いた図。関門1は表示方法で、JavaScriptで後から表示される本文、クリックやログインが必要な本文を確認する。関門2はアクセス許可で、robots.txtとCDNで検索用のボットを止めていないかを確認する。右側では、ChatGPTの検索用OAI-SearchBotと学習用GPTBotが別々の設定であることを示す。

制作担当には、次のように依頼すると調べる場所を共有できます。

対象はこの公開ページです。画面には表示される「(実際の一文)」が、Search Consoleの公開URLテストのHTMLに見つかりません。本文がJavaScriptで後から表示されていないか、ボタン操作やログインが必要な作りでないかを調べてください。あわせて、robots.txtとCDNの設定で、GooglebotやOAI-SearchBotなど検索用のボットを止めていないかも確認してください。修正後は、同じURLと同じ一文で再検査します。

これは依頼文のひな形です。検査した日時を添えて使います。Runpodの原因がJavaScriptだったという意味ではありません。

なお、非公開にすべき情報を検査に通すために公開する必要はありません。対象は、もともと顧客に読んでもらう説明です。ボットの種類はAIクローラーの違いで詳しく説明しています。

本文が読めるなら顧客の質問と照らし合わせる

本文が取得できているのに紹介されない場合は、顧客が実際に聞く質問に、そのページが答えているかを確かめます。

問い合わせや商談の記録から、申し込み前によく聞かれる質問を選びます。個人名や連絡先は使いません。

例えば「料金はいくらか」「今のサービスから移せるか」「自社の用途でも使えるか」。質問ごとに、自社ページのどこを読めば答えが分かるかを探します。

探した結果 次にすること
答えが社内資料にしかない 確認済みの内容を公開ページに追記する
答えはあるが見つけにくい 該当する見出しを付け、ページ末尾から前へ移す
答えがあり、見つけやすい 同じ質問でAIの回答を継続して確かめる

AIの回答は、同じ質問でも毎回変わることがあります。一度出たかどうかだけでは判断せず、同じ質問・同じAI・同じ言語や地域の条件で繰り返し確かめます。

説明用の例として、顧客の質問「料金はいくらか」「今のサービスから移せるか」「自社の用途でも使えるか」を自社ページの該当箇所と線で結ぶ図。答えが社内資料にしかなければ公開ページに追記、見つけにくければ見出しを付けて前へ移す、見つけやすければ同じ質問でAIの回答を継続して確かめる。下部には、同じ質問・同じAI・同じ言語や地域で繰り返し確かめることを示すカレンダー状の帯がある。

AgentSignalでは、登録した質問でAIの回答と引用元を継続して記録できます。ログインと分析用のクレジットが必要です。操作はAI最適化の使い方で説明しています。

AI経由で訪れた人がリンク先で困っていないかは、AIからのリンク先が開けないときの点検も参考になります。

修正後は、本文が取得できたか、AIの回答で紹介されたか、人が訪れたか、申し込みにつながったかを、この順に分けて確かめます。4倍という成果は支援会社の報告ですが、「まず本文が届いているか」を確かめる手順は、今日から試せます。

よくある質問

Q. Runpodは何を提供する会社ですか?
AIの開発や運用に使う計算用のコンピューターを、インターネット経由で利用できるサービスを提供しています。
Q. 記事の修正だけで新規有料顧客が4倍になったのですか?
修正だけの効果とは分かりません。質問の調査の拡大なども同時に行っており、4倍は複数の取り組み全体について支援会社が報告した数字です。
Q. GPTBotを止めるとChatGPTの検索に出なくなりますか?
GPTBotは学習用で、ChatGPTの検索に使われるOAI-SearchBotとは別の設定です。検索に出したい場合はOAI-SearchBotの許可を確認します。許可しても表示は保証されません。

出典・参考データ

  1. [1] How Runpod leveraged the Scrunch AI platform to achieve 4x growth, turning ChatGPT into a top performing acquisition channel (Scrunch) — 取得 2026-09-23
  2. [2] URL 検査ツール (Google Search Console ヘルプ) — 取得 2026-09-23
  3. [3] Understand the JavaScript SEO basics (Google Search Central) — 取得 2026-09-23
  4. [4] AI features and your website (Google Search Central) — 取得 2026-09-23
  5. [5] Overview of OpenAI crawlers (OpenAI) — 取得 2026-09-23

この記事を書いた人

水島 翔吾

株式会社kairos 代表取締役 / AgentSignal 開発者

AI クローラー・AI 流入計測と AIO 診断ツール AgentSignal を開発。実測データを元に AI 検索時代の計測と対策を書いています。

関連記事