AIOの成功事例まとめ:何を変え、何が起きたか

公開 更新 7 分で読了
AIOの成功事例まとめ:何を変え、何が起きたか

AIOの成功事例を、何を変えたか・何を数えたか・誰が報告したかで比べます。売上・問い合わせ・顧客数などの指標を混ぜず、自社で試せる施策を選ぶための一覧です。

AIOとは、AIの検索や回答で自社を紹介してもらえるよう、サイトの情報や作りを整える取り組みです。社内で予算を相談するとき、海外の成功事例を並べたくなるかもしれません。

ところが、「4倍」「83%増」「25倍」と数字を集めても、それぞれ何の数字かが違います。そのまま一つの表に並べると、上司に誤解を与えてしまいます。

この記事では、事例を比べる3つの軸を先に決め、一次資料を本文まで確認できた2件を同じ軸で並べます。件数は少なめですが、指標を混ぜずに読むための一覧です。確認日は2026年9月23日です。

AIO事例を比べる3つの軸:施策・成果指標・報告者

何を変えたか、何を数えたか、誰が報告したかの3つをそろえないと、倍率は比べられません。

軸 確かめること 確かめないと起きる誤解
施策 何のページや設定を、どう変えたか 「記事を増やせば伸びる」と一般化する
成果指標 何を1件と数え、何と比べたか 顧客数の4倍を売上の4倍と読む
報告者 企業自身か、支援会社か、第三者か 宣伝を含む報告を、中立な検証と読む

成果指標では、比べ方の種類も見ます。施策の前後で比べたのか、同じ時期の別の経路と比べたのかで、意味が変わります。

一つの事例を「施策:何を変えたか」「成果指標:何を数えたか」「報告者:誰が報告したか」の3つのレンズで確かめる図。成果指標のレンズには「前後比較」と「経路の比較」の違いが添えられている

施策別に見るAIO事例

今回は2件を、本文の読み取りの改善と、買い手の質問に答えるページ作りの2つの施策に分けて紹介します。

施策 事例 報告者
本文をAIが読めるように直す Runpod 支援ツールの提供会社Scrunch
買い手の質問に答えるページを作る Go Fish Digital Go Fish Digital自身

どちらも、複数の取り組みを同時に進めています。一つの施策だけの効果として読まないよう注意します。

左はRunpodの施策:タイトルは読めても本文が読み取られていない記事を直す様子。右はGo Fish Digitalの施策:買い手の質問を整理して答えるページを作る様子。下に「どちらも複数の取り組みを同時に実施」と注記

本文をAIが読めるようにした事例

Runpodは、タイトルは取り込まれているのに本文が十分に取り込まれていない記事を見つけ、ページを直しました。

Runpodは、AI開発に使う計算用のコンピューターをインターネット経由で貸し出す会社です [1]。2025年初め、AI検索経由の新規有料顧客は月300〜400人ほどで伸び悩んでいたとされます [1]。

2025年4月から、調べる質問を50件から300件に増やしました [1]。サイトの点検で一部の記事の本文が取り込まれていない問題が見つかり、ページの説明情報の更新、構成と書式の修正を行いました [1]。

報告では、Scrunch導入後に月間の新規有料顧客が4倍になったとされ、90日以内の変化として紹介されています [1]。集計期間の細かい区切りは書かれていません。ただし、報告しているのは支援ツールの提供会社です。質問の追加も同時に行っているため、ページ修正だけの効果は分かりません。

買い手の質問に答えるページを作った事例

Go Fish Digitalは、依頼先を探す買い手の質問を整理し、根拠を多く含む中核ページを作りました。

同社は米国のマーケティング支援会社で、自社を対象にした事例を2025年9月24日に公開しています [2]。約3か月で、買い手が使う質問の整理、改善前の数字の記録、5〜8本の中核ページ、関連する質問に答えるページの作成を行いました [2]。

結果として、AI経由の月間訪問が43%増、月間のconversionsが83.33%増と報告しています [2]。conversionsが何を1件と数えたかは公開されておらず、売上とは確認できません。

同社は、開始前から評判や専門性、外部での言及があったとも書いています [2]。詳しい流れはGo Fish Digitalの事例解説で紹介しています。

成果指標別の一覧:売上・問い合わせ・顧客数を混ぜない

原文の指標、比べ方、期間、報告者を1つの表にすると、数字の違いが見えます。

事例 原文の指標 日本語での意味 比べ方 期間 報告者
Runpod new paying customers per month:4x 月間の新規有料顧客が4倍 導入前後 導入後90日以内と紹介(詳細不明) 支援会社
Runpod conversion rate 8%(約28,000訪問で2,100件) 訪問に対する成果の割合(成果の定義は非公開) 率 明記なし 支援会社
Go Fish Digital monthly visitors from AI referrals:+43% AI経由の月間訪問が43%増 前後 約3か月 自社
Go Fish Digital monthly conversions:+83.33% 月間の成果件数が83.33%増(定義非公開) 前後 約3か月 自社
Go Fish Digital conversion rate:25X AI経由の成約率が通常検索経由の25倍 経路の比較 約3か月 自社

この表から、次の点が分かります。

  • どの事例も、売上金額の増加ではありません。
  • 25倍は、施策前より25倍よくなったという意味ではありません。同じ時期のAI経由と通常検索経由を比べた数字です。
  • 4倍と83.33%増は、数えている対象が違うため、どちらの施策が効いたかを比べる材料になりません。

また、Googleは条件を満たしてもAI機能への表示は保証されないと説明しています [3]。事例の数字は、自社の成果の見込みではありません。

3つのラベル付き容器の図。「4倍」は月間の新規有料顧客(前後比較)、「83.33%増」は月間の成果件数・定義非公開(前後比較)、「25倍」はAI経由と通常検索経由の成約率の比較。3つとも「売上金額ではない」と注記

社内説明に事例を使うときの書き方

自社でも試せる施策と、同じ成果が保証されない理由を、セットで伝えます。

説明の例です。

海外では、AI検索向けに本文の読み取りを直した会社と、買い手の質問に答えるページを作った会社が、顧客数や成果件数の増加を報告しています。どちらも自社や支援会社による報告で、売上金額の増加ではありません。当社では、主要ページの本文がきちんと読み取られているかと、顧客の質問に答えているかを先に確認し、直す前後の記録を比べたいと考えています。

避けたい言い換えも挙げておきます。

避けたい表現 理由 代わりの表現
AIO対策で売上が4倍に 顧客数の報告 月間の新規有料顧客が4倍と報告
施策で成約率25倍 経路の比較 AI経由の成約率が通常検索経由の25倍と報告
3か月で成果が出る 条件が違う 同社は約3か月の取り組みを報告

自社で最初に試すなら、主要なページを一つ選び、本文が読み取られているかと、顧客の質問に答えているかを確かめます。記事を増やす前に既存ページを見直す考え方は既存ページを見直す判断軸に、AIから来た訪問の着地先はAhrefsの事例にまとめています。

説明用の例:上司への説明を「試せる施策」と「同じ成果が保証されない理由」の2つをセットにして伝える図。下に最初の一歩として「主要ページを1つ選ぶ→本文が読み取られているか→顧客の質問に答えているか→直す前後を記録」の流れ

よくある質問

Q. 日本企業の事例はありますか?
この記事では、一次資料を本文まで確認できた海外の2件だけを扱っています。日本企業の事例は、確認できた段階で指標・期間・報告者をそろえて追加を検討します。
Q. 事例の倍率を自社の目標にしてよいですか?
おすすめしません。事例ごとに数えた対象や比べ方、開始前の評判などの条件が違います。自社の直す前の数字を記録し、その変化を目標の基準にします。
Q. 失敗事例はありますか?
今回確認した資料には、施策がうまくいかなかった事例は含まれていません。成功の報告だけを見ると期待が偏るため、自社では結果が出なかった月も記録に残します。

出典・参考データ

  1. [1] How Runpod leveraged the Scrunch AI platform to achieve 4x growth, turning ChatGPT into a top performing acquisition channel (Scrunch) — 取得 2026-09-23
  2. [2] Generative Engine Optimization (GEO) Case Study: 3X'ing Leads (Go Fish Digital) — 取得 2026-09-23
  3. [3] AI features and your website (Google Search Central) — 取得 2026-09-23

この記事を書いた人

水島 翔吾

株式会社kairos 代表取締役 / AgentSignal 開発者

AI クローラー・AI 流入計測と AIO 診断ツール AgentSignal を開発。実測データを元に AI 検索時代の計測と対策を書いています。

関連記事