Claudeで接客AIは作れる?公開サンプルで分かる用途と仕組み

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Claudeで接客AIは作れる?公開サンプルで分かる用途と仕組み

Claudeの公開サンプルを使った接客AIの仕組みを、商品検索、比較、カート、購入画面の順に解説。店舗スタッフ向けAIとの違い、自社データへの接続、確定前の確認が分かります。

「このバッグにパソコンは入る?」「もっと軽いものはある?」。通販サイトで迷ったお客さんに、商品を探し、比べ、カートへ入れるところまで会話で案内する。Claudeを使った接客AIの公開サンプルで試せるのは、こうした使い方です。[1][2]

ClaudeはAnthropicが提供するAIです。同社は2026年9月2日、買い物をする人と、店で働く人を助けるプログラムのひな形を公開しました。完成品を申し込んで設置するサービスではなく、自社の商品や注文システムへつなぐための開発用サンプルです。[1]

この記事は、通販サイトの接客を改善したい運営担当者向けです。コードを書けなくても、「自社なら何を任せたいか」「導入には何の接続が残るか」を判断できるよう、バッグを選ぶ一つの場面で説明します。公開資料とコードの確認日は2026年9月12日です。

自社の店へ来た人の商品選びを助ける

例えば、お客さんが「通勤に使える、パソコンの入る青いバッグを探している」と話しかけたとします。店の商品数が多いと、色やサイズを指定しても候補が残り、詳しい寸法は商品ページを何枚も開かないと分からないかもしれません。

接客AIには、希望に合う候補を探し、違いを説明してもらいます。「軽さを優先するならこちら」「収納の余裕ならこちら」と案内できれば、お客さんは自分の条件で選びやすくなります。これは使い方の例であり、購入率の改善を実測した結果ではありません。

Anthropicの公開サンプルには二つの役割があります。買い物客向けのShopping Agentと、店舗スタッフ向けのMerchant Agentです。ここでいうAgentは、会話への返答に加えて、許可された処理を呼び出すAIを指します。[2]

使う人 頼む場面の例 AIが参照するもの
買い物客 希望に合う商品を探し、候補を比べたい 店の商品一覧、商品の詳細、カート
店舗スタッフ 在庫や販売状況を調べ、変更案を考えたい 業務用のデータ、変更できる項目

買い物客のAIは商品探しと比較を助け、店舗スタッフのAIは在庫確認や変更案づくりを助ける。確定操作には別の確認を設ける。

このサンプルを使うだけで、自社商品が外部のChatGPTなどに登録されるわけではありません。主に扱うのは、用意した接客画面と自社のデータをどうつなぐかです。外部のAIから商品を見つけてもらう準備とは、担当する場面が異なります。[1][2]

AIの知識ではなく、店の商品データを調べる

「青いバッグはあります」と答えるには、実際に販売している商品を調べる必要があります。AIが覚えている情報だけで価格や在庫を答えると、販売が終わった商品を紹介するおそれがあります。

公開コードでは、店のデータにつなぐ部分をStorefrontBackendと呼んでいます。これは、商品検索やカート追加など、接客AIから頼める処理をまとめた接続口です。APIは、プログラム同士で情報や処理をやり取りするための窓口を意味します。このサンプルでは、接続口の中身を自社のAPIなどに合わせて作ります。[3]

主な処理は次の通りです。お客さんがこの英語を入力する必要はありません。

公開コードにある名前 店側で行うこと
search_products 検索語と条件を使って候補の商品を返す
get_product_details 指定した商品の詳しい情報を返す
get_cart 現在のカートの内容を返す
add_to_cart 指定した商品と数量をカートへ追加する
checkout_handoff 店の購入画面など、次に進む先を返す任意の処理

接客AIが得意なのは、希望を読み取り、必要な処理を選び、結果を説明する部分です。価格や購入先をAIに作文させる設計にはしません。どの商品をいくらで販売できるかは、店の仕組みが返します。[3][5]

「青いバッグを探す」からカートまで追ってみる

以下は説明用の架空の商品です。実際の販売品や、サンプルに最初から入っている商品ではありません。公開コードのProductという商品データの形式に合わせています。[4]

{
  "product_id": "bag-001",
  "title": "青い通勤バッグ",
  "price": 68,
  "currency": "USD",
  "attributes": {
    "color": "blue",
    "laptop_space": "幅34cm・高さ25cmまで"
  },
  "in_stock": true,
  "short_description": "パソコン用の仕切りがある通勤バッグ"
}

JSONは、項目名と値を組にしてデータを渡す書き方です。この例ではproduct_idが商品番号、priceが価格、currencyが通貨です。つまり商品番号bag-001のバッグを68米ドルで販売しています。in_stock: trueは在庫ありを表します。

まずAIがsearch_productsを使い、この商品を候補として受け取ります。次に、詳しい寸法を確認する必要があればget_product_detailsを使います。検索で候補になっただけでは、あらゆるサイズのパソコンが入るとは言えません。

この架空の店なら、商品データが示す収納部分は幅34cm・高さ25cmまでです。お客さんのパソコンの大きさが分からなければ、AIは大きさを聞き返すか、収納できる範囲を示して確認してもらいます。「通勤用だから入るはず」と推測してはいけません。

お客さんが「それを一つ」と選んだら、add_to_cartへ商品番号bag-001と数量1を渡します。返ってきたカートを見て、同じ商品が一つ入ったことを案内します。商品名だけを頼りに別のバッグを追加しないよう、商品番号を引き継ぎます。[3][4]

商品代の小計は68米ドルです。ただし、ここから送料や税が加わる場合があります。商品データのpriceを、そのまま支払いの最終総額と説明してはいけません。公開コードのカートの小計も、商品価格と数量から計算する値です。[4]

希望を伝えてから店の商品を検索し、比較、カート追加、購入画面への案内へ進む。購入画面への案内だけでは支払いは完了していない。

購入画面へ進めても、まだ注文は確定しない

公開サンプルのcheckoutというツールは、購入の確認に進むための表示を行います。ツールとは、AIが使える一つの操作です。名前にcheckoutとあっても、この処理だけでカードに請求するものではありません。[5]

実際の店につなぐ場合は、カートの中身を店の購入画面へ渡す方法が必要です。公開コードには、その接続先を返すcheckout_handoffがあります。購入先のアドレスは店側の処理から返し、AIがそれらしいアドレスを作らないようにします。[3]

バッグを買う例なら、最後に確認するのは商品番号・数量・最新の在庫・送料込みの金額・配送先です。実際の請求と注文記録は、接続する店の購入システムで成立させます。チャットに「購入しました」と出たことだけを、受注の証拠にはしません。

この区別は、不具合を調べるときにも役立ちます。「AIはバッグを選べたが、カートを渡せなかった」「購入画面までは開いたが、支払いは失敗した」。どこまで成功したかが分かれば、商品検索を直すのか、購入の接続を直すのかを選べます。

店舗スタッフ向けAIは、変更案を確認してから反映する

もう一つのMerchant Agentは、店の運営を助ける側です。公開サンプルには、販売や在庫を調べる処理と、変更を提案する処理が用意されています。[2]

例えば「在庫の少ない商品の説明を見直したい」と頼んだとします。在庫を読むだけの作業と、商品説明を実際に書き換える作業は、影響が違います。後者はお客さんが読むページを変えます。

Anthropicが説明する設計では、変更内容をいったん案として保管し、人が承認してからapply_changeで適用します。「案を作った」「承認された」「反映された」を別々に扱う仕組みです。[5]

この考え方を自社へ持ち込むなら、最初からすべての変更を任せる必要はありません。説明文の下書きは作らせるが、価格変更は対象外にする。商品の候補を探すことは許可するが、実注文は購入者が確認する。自社が確実に検査できる範囲から選びます。

試すなら、自社で困っている接客を一つ選ぶ

公開サンプルはAnthropicのcommerce-agentsリポジトリにあります。リポジトリは、プログラムと使い方をまとめて公開している場所です。サンプルを動かす担当者は、READMEに記載されたPython・Node.jsなどの環境と、AnthropicのAPIキーを準備します。[2]

APIキーはAIの利用を認証するための秘密情報です。ChatGPTへログインするアカウントや、OpenAIのAPIキーをそのまま使うものではありません。公開サンプルの会話機能はAnthropicのAPIを利用するため、その利用に応じた費用も確認します。[2]

運営担当者が用意すると役立つのは、自社で実際に聞かれる質問と、正しい答えの根拠です。例えば次のような確認表を作れます。これは導入前の検査案です。

試す質問・操作 確かめること
青い通勤バッグを探して 実在する販売中の商品を候補にするか
このパソコンは入る? 寸法が不明なら聞き返し、根拠なく断定しないか
二つ欲しい 数量を変え、在庫と商品代を確認できるか
売り切れの商品を選ぶ 売り切れを伝え、別の候補を選べるか
購入に進む 選んだ商品と数量を正しい購入画面へ渡せるか

本稿では公開コードの形式を照合しましたが、AnthropicのAPIを使った会話、本番の店への接続、実決済は実行していません。サンプルでの検査と、本番で注文を受けられることは別の確認です。

この取り組みが向くのは、商品選びに質問や比較が多く、回答の根拠となる商品情報を用意できる店です。先に「どの接客の手間を減らしたいか」を決めると、必要な接続も絞れます。バッグを探して比べるところを任せたいのか、店内の変更案づくりを助けてほしいのか。そこから試すサンプルを選べます。

よくある質問

Q. 申し込むだけで店に設置できますか?
開発用の公開サンプルです。自社の商品や購入の仕組みへ接続する開発が必要です。[2][3]
Q. サンプルのcheckoutで請求されますか?
購入に進む表示を行うツールで、実決済そのものではありません。本番では店の購入処理へ接続します。[5]

出典・参考データ

  1. [1] Claude for commerce agents (Anthropic) — 取得 2026-09-12
  2. [2] Commerce agents README(固定コミット) (Anthropic) — 取得 2026-09-12
  3. [3] StorefrontBackend(固定コミット) (Anthropic) — 取得 2026-09-12
  4. [4] Product・Cartの形式(固定コミット) (Anthropic) — 取得 2026-09-12
  5. [5] The anatomy of effective commerce agents (Anthropic) — 取得 2026-09-12

この記事を書いた人

水島 翔吾

株式会社kairos 代表取締役 / AgentSignal 開発者

AI クローラー・AI 流入計測と AIO 診断ツール AgentSignal を開発。実測データを元に AI 検索時代の計測と対策を書いています。

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