AIエージェントの注文が5.3倍に。Forter調査で見えたAIコマースの実態

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AIエージェントの注文が5.3倍に。Forter調査で見えたAIコマースの実態

Forterが観測したAIエージェント注文は8月初旬の5.3倍に。購入画面を操作するAIが65%を占めた調査を、対象期間・注文経路・日本のECで確認する項目に分けて解説します。

AIに商品を探してもらったあと、人が店を開いて買う。そんな使い方から、AIエージェントが購入手続きを進め、注文を出す使い方も増え始めています。

決済時の不正対策などを提供するForterは、自社ネットワークで観測したAIエージェントによる注文が、8月初旬の5.3倍になったと報告しました。さらに、その注文の65%を、人向けの購入画面を操作するタイプのエージェントが占めたとしています。Forterの調査記事は2026年10月1日公開、10月8日更新です。

この記事で分かるのは、「AIが買う注文」がどのような経路で発生しているのか、店側で何を区別して把握したいかです。5.3倍は売上金額の伸びではなく、65%もネット通販全体に占めるAIの割合ではありません。数字の対象を押さえると、自社のECで検討することが見えてきます。

AIコマースの注文数が、8月初旬の5.3倍に

Forterの報告をもとに、8月初旬の注文水準を1として示した概念図。5.3倍は注文件数の変化で、絶対件数や売上金額ではありません。

Forterの報告をもとに、8月初旬の注文水準を1として示した概念図。5.3倍は注文件数の変化で、絶対件数や売上金額ではありません。

今回の数字は、Forterが検出したAIエージェント経由の注文数の変化です。AIコマースとは、商品選びや購入の過程にAIが関わる取引を指しますが、この調査は、その中でも実際に出された注文を見ています。

Forterが数えたのは、AIエージェントが出した注文

「おすすめの商品をAIに聞いた人」と「AIエージェントを通じて注文した人」は、同じ集計ではありません。前者は相談だけで終わる場合も、人が改めて購入する場合もあります。Forterの対象は、AIエージェントを通じて出された注文です。

5.3倍という伸びを理解するなら、8月初旬の水準を1と置き、更新時点の水準を5.3と比べる考え方になります。元の注文件数を100件、1万件などと補ってはいけません。 記事には、この倍率の元となる絶対件数が示されていないためです。

また、注文の件数が増えても、1件あたりの購入額や返品の状況によって売上は変わります。「AI対策で売上が5.3倍になった成功事例」と読み替えると、調査とは別の話になってしまいます。

発表日・更新日・調査期間を分けて読む

今回参照したのは、10月8日に更新された版です。調査対象は2026年8月1日から10月7日までで、5.3倍の比較元は8月初旬です。

日付・期間 意味
2026年10月1日 記事の公開日
2026年10月8日 参照した版の更新日
2026年8月1日〜10月7日 データの対象期間
8月初旬 5.3倍という倍率の比較元

日付を分けるのは、古い紹介記事に載った数値と、更新後の数値を混ぜないためです。本記事も10月11日付の新規発表としては扱っていません。今後さらに更新された場合は、その時点の対象期間も一緒に確かめる必要があります。

AIエージェント注文の65%は、店の購入画面を操作

上は専用の接続を使う経路、下は通常の購入画面を操作する経路の概念図です。利用可否は店とサービスの条件によります。

上は専用の接続を使う経路、下は通常の購入画面を操作する経路の概念図です。利用可否は店とサービスの条件によります。

Forterは、AIが注文を出す経路を大きく二つに分けています。一つはAI向けに接続した注文の仕組みを使う方法、もう一つは、店の通常の購入画面をAIが操作する方法です。

後者がAIエージェント注文に占める割合は、8月初旬の1%から、原文で「前週」と表現された期間の65%へ変わりました。65%の分母は、検出されたAIエージェント注文です。 人が自分で購入した注文まで含む割合ではありません。

AI専用の注文窓口を使う買い方

専用の接続では、店が対応した注文の仕組みとAI側が情報をやり取りします。Forterは、OpenAIのACPを使う決済やGoogleのUCPを使う決済を、このグループとして集計しています。

買い物の説明用の例なら、利用者がAIに「この商品を1点注文したい」と頼み、対応済みの接続を通じて、商品や注文内容を店へ渡す流れです。実際にどこまで操作できるか、いつ購入者の承認を求めるかは、利用するサービスと接続条件によります。

店にとっては、AI向けの接続を提供する会社の説明だけでなく、自社の契約・地域・決済手段でも使えるのかが判断材料になります。規格の名前を知っていることと、自社の店で受注できることは別です。

人と同じ購入画面をAIが進める買い方

ブラウザを操作するタイプでは、AIエージェントが店のページを開き、商品選択や購入画面の入力を進めます。人が画面を見ながら操作する流れに近い方法です。

たとえば、利用者が「この店で、条件に合う商品を選んで購入手続きを進めて」と依頼する場面が考えられます。店に専用のAI注文窓口がなくても、通常の購入画面を使う経路は検討対象になります。

ただし、どの店でも最後まで買えるという意味ではありません。ログイン、本人確認、配送条件、店の利用条件などで止まる場合があります。自社の画面で注文が成立するかは別途確認が必要で、保護機能を一律に解除する話でもありません。

Museの登場で、観測された注文の内訳が変わった

注文が起きた日と、計測側がその種類の注文を見分けられるようになった日は別です。

注文が起きた日と、計測側がその種類の注文を見分けられるようになった日は別です。

ForterはMuseの注文を9月21日から検出したと説明しています。今回の調査では、こうした画面操作型のエージェントによる注文が加わり、専用の接続による注文との内訳が変わっています。

検出を始めた日と、サービスの開始日は違う

9月21日は、ForterがMuseによる注文を安定して見分けられるようになった日です。Museがその日に初めて世の中で注文した、と示すものではありません。

これは自社の計測を読むときにも重要です。たとえば10月から新しい識別機能を使い始めて「AIの注文が見つかった」としても、それ以前に注文がなかったとは限りません。

担当者は、グラフの増加と一緒に、計測方法を変えた日も残しておくと説明しやすくなります。実際に注文が増えたのか、今まで見分けられなかった注文を数えられるようになったのかを、最初から同じものにしないためです。

ChatGPTの専用決済と、画面を操作するエージェントを分ける

同じサービス名に関連する注文でも、使った経路が違う場合があります。Forterは、OpenAIの専用の決済経路と、ブラウザを操作するChatGPT Agentを分けています。

自社の報告書で単に「ChatGPT経由」とまとめると、AIの回答から人が訪問して買った注文、専用接続で届いた注文、AIが画面を操作した注文のどれかが分からなくなります。

サービス名に加えて、「誰が購入画面を進めたか」「何を根拠にAI経由と判断したか」が分かると、必要な対応を選べます。商品紹介の改善と、購入途中で操作が止まる問題では、調べる場所が違います。

日本のECが確認したいのは、注文をどう見分けるか

左から、人がAIの紹介を見て購入する場合、専用接続でAIが注文する場合、AIが購入画面を操作する場合。自社で識別できる範囲を確かめます。

左から、人がAIの紹介を見て購入する場合、専用接続でAIが注文する場合、AIが購入画面を操作する場合。自社で識別できる範囲を確かめます。

日本の店舗が今回の調査から考えたいのは、自社でも同じ伸びを期待することより、今の受注記録でどこまで分かるかです。Forterの観測は北米に偏っており、日本市場の伸び率を示していません。

AIからの訪問数と、AIが確定した注文数を分ける

AIの回答からリンクを押して来た人が、その後に自分で注文することがあります。その訪問を計測できても、「AIが購入操作をした」とは限りません。

逆に、AIエージェントが注文した場合も、一般的なアクセス解析にサービス名が分かりやすく残るとは限りません。訪問の参照元だけで、すべての注文を分類するのは難しいと考えた方がよいでしょう。

調べたいこと 確認する記録の例
AIの回答から人が来たか 訪問の参照元や、対応している流入計測
AI向けの接続から注文が届いたか その接続が残す注文の識別情報
AIが通常の購入画面を操作したか 対応する検知サービスの記録と注文との対応

これは分類の考え方を示す表です。現在のカートや計測ツールですべて取得できる、という意味ではありません。取得できない項目を「0件」で埋めず、「今の方法では不明」と残すと、数字を過大に説明せずに済みます。

利用中のカート会社に確認する項目を絞る

最初の確認先は、利用中のカートサービスや導入済みの不正対策サービスです。下は問い合わせに使える編集部の例文です。自社サイトのURLと利用サービス名を入れれば、確認したいことが伝わります。

当店でAIエージェントによる注文を確認できる範囲について教えてください。

対象サイト:自社のショップURL

利用サービス:契約中のカート・不正対策サービス名

  1. AI向けの専用接続から届いた注文を見分ける機能はありますか。

  2. 通常の購入画面をAIが操作した注文も対象ですか。

  3. 対応する場合、管理画面のどの項目で、どの注文と照合できますか。

  4. 未対応の地域・決済方法と、判別できない場合の表示を教えてください。

たとえばForterの決済連携資料では、同社の連携による注文を既存の注文管理へ届け、AIからの注文を示す情報を扱う仕組みを説明しています。これはその連携を使う場合の話で、すべての店舗が今すぐ同じ表示を見られるわけではありません。

返答を受けたら、担当者同士で「どの画面を開き、何の項目を見ればよいか」をそろえます。未対応なら、新たな導入費用を判断する前に、対象になる注文と提供範囲を確認できます。識別だけを理由に、不正アクセス対策を止める必要はありません。

AIコマースの注文調査でよくある質問

65%の対象は、内側に描いたAIエージェント注文の中です。通販全体に占めるAIの比率ではありません。外側と内側の面積・人物数は実測の割合を示しません。

65%の対象は、内側に描いたAIエージェント注文の中です。通販全体に占めるAIの比率ではありません。外側と内側の面積・人物数は実測の割合を示しません。

今回の数字を社内資料で使うなら、「Forterの観測ネットワークにおけるAIエージェント注文」と対象を添えてください。自社の実績や、日本の通販市場全体の数字と並べるときにも、この違いを保つ必要があります。

すべてのネット注文の65%がAIという意味ですか?

違います。65%は、Forterが検出したAIエージェント注文の中で、通常の購入画面を操作するタイプが占めた割合です。人による注文を含む通販全体のAI比率は、この数字からは分かりません。

日本でもAIによる注文が5.3倍に増えていますか?

この資料だけでは判断できません。5.3倍はForterの観測した注文について、8月初旬と比較した数値です。日本の店舗が見るべきなのは、自社の対象地域と利用サービスで、どの注文をどの根拠で識別できるかです。

AIに商品を紹介してもらう準備と、AIによる購入を受け止める準備はつながっています。ただ、紹介された回数だけでは、購入まで進めたかは分かりません。今回の調査は、その先の注文経路を確認する理由を示しています。

出典・参考データ

  1. [1] AI Agent Order Data: Agentic Commerce on Forter’s Network
  2. [2] Checkout & Payments — Forter

この記事を書いた人

水島 翔吾

株式会社kairos 代表取締役 / AgentSignal 開発者

AI クローラー・AI 流入計測と AIO 診断ツール AgentSignal を開発。実測データを元に AI 検索時代の計測と対策を書いています。

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